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果てしなき不条理の闘い アルベール・カミュ ペスト

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柊乃「君はカミュを読んだことがあるか?」

俺「いいえ、でもカミュの入門書(?)なら読んでみました」

今回紹介するのは、大変読みやすいカミュの入門書的ポジションな本(?)「NHK100分de名著:果てしなき不条理の闘い」です。

ちなみに、アルベール・カミュはフランスの作家でノーベル文学賞受賞者でありながら、実存主義の哲学者:サルトルの友にして最後は決別した間柄の方です。

サルトルについては載せてはいませんが、下記に登場しています。

カミュと言えば、文学史などで「異邦人」・「ペスト」が有名です。

なお、この二つについてはアイキャッチのデイグラシアの羅針盤にて柊乃先生がチョロっとしゃべってます。

ところでこの「ペスト」について、1947年に発刊されて長い時間が過ぎてますが、2020年からの新型コロナウイルスが世界で猛威を振るう現状もあり、現在世界中でベストセラーのリストに入り、日本でも新潮文庫版が100万部を突破、さらにはその余波を受けて解説書が色々発刊されたようです。

この本はその中の1冊で、「ペスト」を主題に置きながら、カミュの解説書にもなっています。

では、この本を読んで共感した内容を書いていきたいと思います。

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ペストが認知された第一段階:発生地のオラン市の出入り口は衛兵が配置され、港も閉鎖した結果、陸路や海路からも完全に孤立する。しかし、市民達は状況が理解できず、相変わらず個人的な関心事を第一に考えていた。あたかも休暇の様に娯楽を提供する映画館やカフェはかえって繁盛していた。

(コロナ禍の中、鬼滅の刃やエヴァ等、映画館に行っちゃいました…。カフェも読書等でメチャクチャ通ってました…)

・たまたまオラン市に居た為、町から脱出できない新聞記者ランベール(スペイン内戦の際に地獄を見た経験を持つ)の言葉で、「あなたは一個の観念の為には死ねるんです。僕は観念の為に死ぬ連中はもううんざりです。僕はヒロイズムを信じません。」

これは、「理念(観念)は人を殺す。理念だけに頼ると歯止めが効かなくなる。」という内容です。ここで言う理念とは、内戦による自軍の正義(理念)と敵軍の正義(理念)の闘いは歯止めが効かないということ。

また、先のデイグラシアの羅針盤で言うところの、深海に沈むSHEEPⅢにて人命を尊ぶ柊乃先生と最大多数の幸福を目指す縁さんの争いがそうですね。

最大多数の幸福の為には殺人は認められるのか?…トロッコ問題ですね…

トロッコ問題では、結果は同じ最大多数の幸福が得られるのに条件が変わっただけで結果が変わってしまうという、人間の倫理観を問います。

私の例もそうでしたが、ためらいを感じる倫理的感性こそがカミュの精神の本質的特徴なのだと著者は言います。

残された者の責務(生き残った者の債務)とは、記憶し続ける事。

ペストと生命の勝負で人間が勝ち得たものは認識と記憶だ

「この物語を記録する者」は、この災厄のすべてを記録することが必要だとし、物語を書くことを決心します。

何故なら、「結局はいつだって同じ、人々は全てを忘れてしまうから。それが人々の強さでもあり、彼らの罪の無さであるから。」そして、

「災厄は回帰する」

「ペスト」においての重要なテーマは「書く事」です。書くことにより経験を記録し、次回に継承することができます。

試合に負けて、勝負に勝つために残された者の責務となります。

・ペスト禍の状況で、ペストと戦う唯一の方法は「誠実さ」であり、ただ役に立ちたいと自分の出来ることをする、自分のなすべき事をするという「静かな美徳」を行うことです。

カミュの不条理との闘い3部作はそれぞれ3段階に分かれる。第1段階:「異邦人」で不条理の認識は自分だけのものであったが、第2段階:「ペスト」で不条理は他の人と連帯するということ。第3段階:「反抗的人間」で世界の不条理に抗えと言います。

つまり、

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「我反抗す、故に我らあり!」

「ペスト」本体を読んだわけではありませんが、この本からもペストの要点を著者の論評も含めて読むことができます。

現在もコロナ禍の状況下で私たちは自分の出来ることをなすことで闘っています。

いつかコロナが終息し、次の災厄の到来に向けて、「ペスト」もしくは、コチラも是非読んでみませんか?

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