今回の記事は今年プレイしたビジュアルノベル作品の中で…
「一番○○できた作品:人魔」
その開発者:致意さんの短編集でもある湖心亭奇談集です!
ちなみにこの作品を知ったのは、X(旧ツイッター)にてアップデートがあった旨のツイートが流れてきたのをキャッチ!
人魔がアレだけ良かったのだから…という理由で購入した次第です。
では、さっそく今回のお品書きを!
物語紹介:語部との遭遇+各短編紹介
あらすじというか、まずはこのゲームの構成について。
ある夏の夜、突然部屋のエアコンが故障したので少しでも涼を取ろうと近くの園林(中国公園)に夜涼みに向かったある人物(おそらく男だと思われるので、ここでは「ある男」とする)が、普段は誰もいないであろう湖上に建つ湖心亭(日本で言うところの公園にある池の上にポツンと佇む休憩所というか雨宿り場所?)に向かったところ…
古風な出で立ちの謎の男に遭遇したお話です。
その男はココで友人と待ち合わせをしているようで、手持無沙汰な待ち時間の解消からか自家製のハッカ茶を男に差し出し、
「何かの縁」
との思いで「小話でもいかがか?」と誘ってくる。
男も興味を持ち、その男の友人が来るまでと好意的に了承する。
古風な出で立ちの男は自身のことを語部(かたりべ)と名乗り、不思議な物語を語るのであった…
ここまでがゲームのプロローグ(楔)となり、実際にプレイする小話は…
5つの短編からなる短編集となります。
それぞれ読み物としてのジャンルが異なり、各短編を選ぶ毎に左下に導入部としてあらすじが載っています。
興味を持った短編から読み進めていけますね!
なお、以降からは実際に私が読み進めていった順番での物語紹介になります。
第一話:夜半の夏・地下鉄にて
高校生活最後の夏、主人公の家庭はかなり不和な状態にあった。
主人公は学校が終わってもお金があればカフェで時間をつぶし、お金がなければ公園に行って本を読んで時間を潰し、最終電車に乗って帰宅するようになります。
理由は簡単、両親の姿を少しで見たくない、だからできるだけ家に居たくない…
そんなある夜、いつも通り少人数しか乗っていない最終電車に乗り込み、誰もいない車両を見つけては座席に座ってため息一つ…
ふと気づくと、誰もいないと思っていた車両には一人の女学生が…
その女学生はこちらの視線に気づいたのか、視線をコチラに移し…
「どこかで会ったことがあるような…」
目が合う瞬間、過去の記憶が蘇る。
「彼女は、仲夏だ。」
小学校時代に一緒のクラスで、そして…
仲夏の方から主人公に声をかけてくれて、二人は久しぶりの再会と、今の近況を話し合う。
昔は物静かな仲夏だったが、今は何か雰囲気が変わっていて…
そんな仲夏は唐突に物理の不思議を語りだす。
「二重スリット実験って知ってる?」
残念ながら高校時代に物理ではなく生物を専攻していた為(文系=生物が鉄板w)、何のことかあんまり知りませんでしたが、言いたい事はなんとなくわかる感じです。
戸惑う主人公だったが、物理の不思議について語りだす仲夏に惹きつけられ…
詳しいお話は本編で確認いただくとして、物語的には、そう…
この記事を書いて思い出したのは、
そんな感じの物語。
はい、私の大好物な物語でした!
グノーシアの物語が好きな方なら絶対好きになる短編です。
ちなみに各短編が終わると、ゲームで言う現実の湖心亭の場面に移り(小話が終わり)…
語部さんと物語についての感想や情景等を語らい合って各編は終了していきます。
なんでしょうね…
ただ話し終わるだけでなく、こういう余韻を楽しむスタイルもこの作品の良い所でもあります。
第二話:鼠人
ネズミ男みたいな感じかとも思いましたが、そういったお笑い要素なし(多少はあるが)のかなり緊迫したサスペンス系です。
物語を始めると…
「え、ナニコレ?」
イキナリお知らせ画面から開始されます!
ファインディングパラダイスの時みたいにヘッドフォン推奨なのはわかったとして、メモとペンの用意を促されるだと!
そんなわけで三種の神器(ヘッドフォン・ペン・わら半紙)を用意したら小話開始!
ふと主人公が気が付くと、辺りは暗い。
手探りで辺りを触れると、そこは四角い鉄箱のよう…
ああ、こりゃ閉じ込められてるパターンですね…
しかも直近の記憶も曖昧なようで…
さらに、なんか天井が徐々に下がってきてるんですが!
そんな状況で突然鳴る携帯電話、画面に映るは知らない番号…
電話の声の主はこう言う、
・君がいる場所は廃品回収所のゴミ圧縮用油圧プレス機!
・君の命が一瞬で終わらず、押しつぶされている様をじっくり楽しませてもらおう!
・この携帯で電話をかけて、30分で4000万かき集めれたら解放してやろう!
終話後、助かるために携帯電話で各所に連絡してお金の都合をつけていくわけですが…
う~ん、この感じ…
「今回は他人の携帯ロックを解除しなくていいのねw」
今年、なんかゲーム内で携帯ポチポチしていく私であったw
ちなみにこの短編はモロにアドベンチャーゲームとなります。
自分で考え、制限時間内にミッションクリアできないとゲームオーバーになります!
その為、他の短編に比べるとこの作品だけ異質な感じですね!
主人公:戌仁が何故鉄箱に監禁されているのか、そして謎の電話の主は?
その辺の謎もしっかり回収されているので、頑張って謎解き&電話番号のメモを頑張りましょう!
クリア後はもちろん、語部さんとの余韻の語らいもありますよ!
そうですね…言いたいこと&言っておきたいことは早く伝えてあげるのが良いのかもしれませんね…
そんなお話かな?
第三話:鏡像空間
この短編、一言で言えばスリラーな物語なのですが…
この物語も上記の鼠人と同じように他と一風変わっており…
SFC時代のプレイヤーからすると懐かしい、往年のサウンドノベルの名作:かまいたちの夜を彷彿とさせる物語。
この登場人物=シルエットな画面、久しぶりに見ました!
そうですね、具体的に言うとPS2のかまいたちの夜トリプル以来?
そういやペンション:シュプールに泊りに行こうとか友達と話し合ってて、いざ行ったら殺人事件に巡り合い…と言う所まで空想してた時代がありましたねw
そんな物語は貧乏故に少しでも家賃を浮かそうと事故物件に移り住んだ主人公:甲斐の部屋に、大学時代の同級生:阿部が訪れてきて…な感じの世にも奇妙な物語。
なんでしょうね…
そうそう、こういう感じだよね往年の作品は…という感じ。
そんな物語の終わり、語部さんとの余韻は…
なんだか不思議で今までの雰囲気と少々違った余韻を残します。
「夢を完全に思い出すことはできますかな?」
ふむ、不思議な余韻の物語でしたね…
第4話:幽霊塔
物語はホラー作品ですね。
地元の学校に通う高校生:北川がひょんなことから奇々怪々な状況に追い込まれる物語。
ある朝、学校の朝読書中に学校新聞の記者:綺月しぐれより
歴史的建造物:幽霊塔(正式名称:文星閣)の地下には太平天国の名将:李秀成が遺した埋蔵金がある!
そんな言い伝えを教えて貰う。
夢のある話だなと感じていた北川でしたが、その日の下校中に思いもよらぬ嫌がらせ(かなり悪意がある)により幽霊塔に侵入することに…
幽霊塔の門には黄色い紙のお札が張られているのですが、仕方無しにその門を開けると…
策謀うず巻く幽霊塔には、そこに住まうモノ、対峙するモノが!?
そんな感じの物語です。
ちなみに、この記事を書いていた際にちょっと気になったので、ネットカタカタしてみたのですが…
中国の観光地紹介のHPにて発見!
「本当に文星閣あるんですね!」
何のために建てられたのかはわかりませんでしたが、こういう本当にある歴史物とか建造物を舞台にする…結構好きです。
その他には玄妙観(道教の寺院)もありましたし、プロローグ:楔で語部さんと出会った園林の湖心亭…
これ、多分ですが蘇州古典園林の湖上に建てられてるコレか!?(イメージとしてね)
それこそ、上述のペンション:シュプールと同様、もしも中国旅行(蘇州)に行ったら見に行ってみたいですねw
(近くのホテルに宿とって、夜に湖心亭に出向いている自分を妄想…)
そうして、ゲームの記憶も人の記憶になっていくのであった…
第5話:相思橋
この物語も他の短編と毛色が違い、ミステリ系なのですが…
導入の通り、どちらかというと本編(他ゲーム作品)の番外編というかアナザーストーリーとでもいうか、第0話みたいなものですかね?
この短編の主人公:柳董の生い立ちと不思議な目のお話がメイン。
生まれた時から虹彩異色症の為、右目が白く濁った状態で生まれた柳董は、死人の目と周囲から嫌悪され、出来るだけ人と関わらないよう生きてきた。
大学入試が終わり、父から勉強疲れと精神環境改善を癒す為にも蘇州旅行に行ってみてはどうかと勧められる。
かくして母親と共に旅行に向かったが、母と途中ではぐれてしまって…という流れ。
見ず知らずの土地に一人残され、運悪くにわか雨にあい…
雨宿りに入った先は傘屋さんでした。
優しそうな店主に電話を借してもらい、母親に連絡。
宿泊先のホテルで合流しようという事になるが、それを聞いて心配した優しき店主は、店の一角でコーヒーをすすっている弟に道案内をしてあげるよう指示を出す…
その弟は観察眼のあるコーヒー中毒の高校生だった…
という感じの物語。
ちなみに柳董の白く濁った右目は時々幻覚を映すようで、
時に幽霊が見えてしまうという不思議な眼だった…
そんな初めて訪れた蘇州の街で彼女の眼は何を映すのか?
はい、そんな不思議な物語。
さてさて、ちなみにこの物語が終わった後の余韻は…
語部さんが宣伝しているように、この物語の続きは「端木斐異文録」という別ゲームに続きます。
次の作品に派生って感じですね!
てか、この時ばかりは語部さんがなんか俗な感じになってしまうw
まあ、しょうがないw
そんなわけで、計5編の短編集を読み終える(語部さんが語り終える)と、最後にエピローグでもある跋(あとがき。書物の終わりに書く文)が解禁されます。
ゲーム中では夏ですが、特に何もすることもない…ふとした夜の時間にでも語部さんに語って頂いてはいかがかな?
では悪い点に行ってみよう!
悪い点①:たまに物語的に「?」となる時がある
とは言っても、物語に支障がある程度の話ではないのですが…
鼠人の物語にて…
「助かりたければ30分で4000万用意しろ!」
と、殺す気満々な脅迫者ですが
突然、200万借りるだけで良いと宣ってくる…
一気に3800万円のディスカウント!?w
まあ、たぶん誤字だと思われるのであまり気にしないw
ちなみに、物語にのめり込んでいた当時の私は
「???」
と、戸惑いを隠せなかったわけで…
追記:どうもこの200万円は中国語原文での200万元がそのまま200万円となったのが原因の様です…
まあ、そんな感じで悪い点はそんな感じで特段他にはないかな?
というわけで、良い点行ってみよう!
良い点①:セール利用でお得に楽しめる短編集
通常価格930円なのですが、私が購入した時はセール中だったので30%OFFの651円…なのですが、steam特有の現象で本作+サウンドトラックのバンドル購入で何故か本作単品購入よりも安くなる仕様により、両方セットで585円で購入しました!
上記の通り、この作品は短編5話+プロローグ・エピローグの構成となっています。
ざっくりなジャンル分けとして、スリラー・サスペンスアドベンチャー・ミステリ・ホラー・物理系ラブストーリー、そんな感じの構成かな?
…物理系ラブストーリーってなんだ?w
プレイ時間としては全てのエピソードを読み終えて計4.5時間、1話で約1時間弱くらいの短編なのですが、鼠人のみアドベンチャー要素があり、一番時間がかかるかな?
ちゃんとメモ取らないとクリアできないよ!w
私的にはセール価格で買ったこともあり、致意さんワールド感じ取れたので十分満足です!
これはセール中でバンドル買うっきゃない!w
良い点②:男女ともに魅力的なキャラ登場!
これは主に人魔の話にも繋がりますが、語部さん然りで男女ともに美麗なキャラクターが登場します。
特にビジュアルとしてキレイだったのは相思橋や幽霊塔かな?
あなたはどのキャラが好み?
良い点③:コイツ、動くぞ!
5つの短編の内、ほとんどの物語にてキャラクターや情景に動きがあります。
特に、夜半の夏・地下鉄にての乗車シーンは必見!
ああ、すごいなと感嘆のため息がでましたw
よく似た印象として、初めてFF7(PS1)のクラウド登場を見た時みたいな感じ?
そういや、「FF7発売したので学校休みます!」というのがあったなぁ…(懐かしい)
良い点④:連海=蓮徊な世界
連(れん):つらなる、つらねる、つながり。
徊(かい):さまよう、行きつもどりつする。
私、開発者:致意さんのゲームを2作品しかプレイしていませんが、人魔と今作含めてやたら「レンカイ」という名称を目にします。
さらに、他のゲームに連海カジノというゲームもあり…
ふふ、なにやら私好みな世界観がありますねw
追記:連海について、コメント頂きました。詳しくは別ゲーム:端木斐異聞録にて。
良い点⑤:人魔プレイヤーなら特にこの短編がオススメ!
この物語だけ日本人声優さんが担当されています。(語部さんはオール日本語吹替)
担当された声優さんは…
主人公:餅伸牡丹さん(人魔:小林守)
仲夏:奈凸さん(人魔:須永先生)
語部:五十六ゴロリさん(人魔:井上先生)
そう、人魔な面々です!
特に小林については人魔の回で色々書いてます。
須永先生のお声は人魔ではあまり出演回数少なかったのでこの作品で補完しておこう(謎)w
語部さんは、まぁ…安定のハスキーボイスで酔いしれよう!
その他短編は中国の声優さんがされているので(開発者ご本人も参加されているよう)、
「中国語で何言ってるのかわからないしなぁ…」
と思っていましたが、字幕の日本語がしっかりしているので、
各キャラの感情とか雰囲気を音声で補完してくれている感じがして問題なかったですね。
それではまとめ行ってみよう!
まとめ:
というわけでまとめなのですが、
各種ジャンル違いの致意さんワールドを5つ楽しめる短編集!
更に興味が沸いたら続きを本編で読んでみよう!(別ゲー:端木斐異聞録へ)
基本的に物語の音声は中国語が飛び交っていますが、
中国語がわからなくても字幕がしっかりしているのでキャラの印象付け補完として考えれば十分!
各話の最後には不思議で古風な語部さんがまとめてくれています。
しかも、人魔:井上先生のハスキーボイス付き!(ココも良い!)
購入する際の注意点は、あくまでも短編集なので1話毎のボリュームは少ないということ。
おそらくですが日本の方が致意さん作品を購入する場合、一番最初に今作に辿り着き購入するとは思えません…
初めて致意さんワールドを垣間見る作品としても良し、人魔から今作をプレイして致意さんワールドの再確認という感じにしても良し!
私のように人魔→今作(相思橋)→端木斐異聞録という感じに派生していくのもありではないでしょうか?
もしも、この記事読んで購入しようか迷われたら、とりあえず人魔を先にプレイしてみるのも良い手です。
人魔クリア後には自ずと今作をポチっているでしょうともw
追伸:X(旧ツイッターにて)
今作の記事準備中、途中経過をX(旧ツイッター)に上げていたのですが…
なんと開発者:致意さんからダイレクトメールを頂いてしまいました!
私史上、初の開発者様からのご連絡だったのでメチャクチャ驚いた&嬉しかった!w
メールで色々やり取りをしている際、次回作についての熱い情熱を伺い知ることができました…
「あの古き良きゲームの時代は息づいている!」
これはちょっと楽しみですね♪
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